旅
会社を辞めてから、4か月がたつ。
時間とともに記憶は薄れていくけれど、
近いうちにきちんと時間をとって思考を整理しなければと思う。
そして、言葉にして残しておくこと。
10月中に、しよう。
会社を辞めてから、とにかく、なぜか焦りがあった。
「動いている自分」という実感がほしかったのかもしれない。
「何もしない」それも会社を辞めた目的のひとつだったはずなのに。
でも自分の気持ちのままにあることも目的のひとつだったから、
焦りに抵抗しなかったのも事実。
そして、私は旅に出た。
近所から、市内、県内、国内。
随分と歩きまわったし、多くの出会いと、多くの感情を得た。
行き先はいつも決まっていなかった。
いいことばかりだったとは言えない。
騙されることもあったし、無計画ゆえにもったいないこともたくさんあった。
荷物を抱えて歩き回り、疲れ果てて自問自答を繰り返した日もあった。
旅がすべて良かったとは言えない。いいことばかりじゃない。
それでも私は、きっと、また旅に出る。
濃い海の青を強く好きだという想い。
その地のものをその地で食す有り難さ。
そこに営まれてきた文化が次世代に受け継がれていくこと。
昔、教科書で見た絵が自分の目の前にある事実。
夜行バスから見えた満月、なぜ追いかけてくるのか
不思議に思っていた5歳位の自分を思い出すこと。
生かされた命と消えていった命が交錯した場所に立つこと。
人の多さと制御することのできない情報に飲み込まれそうな中で
気持ちをしゃんと踏ん張らせようとする自分。
自分の五感すべてでも足りないくらいに、
世界は溢れ続けていること。
どう考えても、人生いっこじゃ足りない。届かない。
その事実がやけに悲しくて、悔しくて。
だけど、それでも手を伸ばし続けなければ、
私はきっと生きていけない。
だから私は、必ず、また旅に出る。